Fin Techゲストスピーカー

仮想通貨の可能性

麗澤大学 経済学部

教授

中島 真志 氏 氏

2018年05月31日

経歴

日本銀行(調査統計局、金融研究所、国際局、金融機構局) 、BIS(国際決済銀行)に勤務。
2006年より現職。

2018年5月31日の「Fintechと金融市場」の講義では、ゲストスピーカーとして麗澤大学経済学部教授の中島真志氏にご登壇いただきました。

ビットコインとはなにか

冒頭は、ウォレットとアドレスの関係、P2P型ネットワークの利用、ブロックチェーンを使った取引手法、ハッシュ関数、プルーフ・オブ・ワークとマイニングなど、ビットコインを支える仕組みについてわかりやすくご説明いただきました。

ビットコインは夢の通貨か、悪魔の通貨か?

マウント・ゴックス事件やコインチェック事件など、ビットコインの盗難・流出事件が多発しています。取引システムとしての脆弱性もさることながら、闇サイトやランサムウェアなどの違法取引・犯罪や、資本規制の抜け穴として使われている実態もあるとのこと。マイニングのために大量の電力が浪費されていることや、そもそもの背景にリバタリアン的思想があることなど、ビットコインには多くの課題があることを中島氏は指摘しました。

将来性に対する懸念

発行上限が設定されているビットコインが値上がりを続けている限り、マイニングに対するリワードを4年ごとに半減させていくという仕組みの下でもシステムは成立していました。しかし、今後マイナーがマイニングを続ける保証はなく、 ビットコインを交換手段として(おカネとして)使っているユーザーもかなり限定的であることも分かってきたといいます。
夢の通貨としてもてはやされる一方で、国際的な規制の必要性も叫ばれるビットコイン。様々な側面を検討した上で、中島氏は「ビットコインの将来性については慎重にみておく必要がある」と総括し、講演の結びとされました。

nakajima2.jpg