Fin Techゲストスピーカー

流通業界の変化とフィンテック

フロンティア・マネジメント株式会社

代表取締役

松岡 真宏 氏 氏

2018年06月14日

経歴

東京大学経済学部卒業。野村総合研究所、バークレイズ証券会社を経て、1997年にUBS証券会社(現、UBS証券)に入社、1999年に株式調査部長兼マネージングディレクターに就任。2003年に産業再生機構に入社し、カネボウやダイエーの事業再生に携わる。2007年にフロンティア・マネジメントを設立し、代表取締役に就任。2012年にフロンティア・マネジメントの中国現地法人であるFrontier Management (Shanghai) Inc.(100%子会社)の董事長に就任。『宅配がなくなる日』(共著 日本経済新聞出版社 2017年)など著書多数。

2018年6月14日の寄附講義「FinTechと金融市場」のゲストスピーカーとしてフロンティア・マネジメント株式会社 代表取締役の松岡真宏氏にご登壇頂きました。

今、流通業で何が起こっているのか? 

 購買プロセスは大きく分けて「選択」「支払い」「受け取り」の3つに細分化することができます。松岡氏によれば、「選択」「支払い」の2分野については、Eコマースやスマホの普及によって、購入者が好きな時間・好きな場所で実行可能という意味で「同時性」が解消したといいます。しかし、昨今宅配便の再配達問題が注目されているように、未だに「受け取り」分野における進化は停滞しています。

消費者行動における変化

 そもそも、購買プロセスが同時性解消の方向に進んでいるのはなぜでしょうか。松岡氏は、「スキマ時間」「スキマ空間」の有効活用が消費者行動および商品売買の本質に変化をもたらしていると指摘します。
具体的には、消費者にとって不必要・不選好の時間を減らすことで得られる「節約時間価値」と、選好する時間を増やすことで得られる「創造時間価値」を最大化することが、今後の商品売買にとってきわめて重要になってくるというのです。

金融・フィンテックへのインプリケーション

 同時性の解消という文脈では、フィンテックは大きな価値をもたらします。その一方で中小企業の導入コストや現場従業員への負担といった「フィンテックの社会的費用」が今後問題になる可能性があります。松岡氏は「フィンテックを足掛かりにした物流と金融機能の内部化(プリンシパル化)と、従来型の『選択と集中』による外部化、双方向の動きが見られるようになるのではないか」と今後の展望を語り、講演の結びとされました。