ゲストスピーカーのご紹介

演題「真の価値創造を目指して」

第一生命ホールディングス株式会社  第一生命保険株式会社

代表取締役会長

渡邉 光一郎 氏

2017年12月12日

2017年12月12日の佐山展生教授の授業「企業価値向上論Ⅱ」では、ゲストスピーカーとして第一生命ホールディングス株式会社 第一生命保険株式会社 会長の渡邉 光一郎氏にお越しいただきました。

学生時代にバーナードの「経営者の役割」を読み、初めて経営に関心を持たれたと語る渡邉会長が会社に入り感じたのは、バーナードが言う以上に企業は矛盾の塊であるということでした。今回の講演では、会社を動かすインフォーマルなものをどのようにマネジメントするかが重要であり、経営を考える機会にしてもらいたいと、第一生命の二十年にわたる経営改革の歩みと精神を披露いただきました。

金融機関の破綻が相次いだ1997年、一時的な金融危機に加えて、生産年齢人口減少による構造的危機が迫っていることを見抜いた第一生命は、大胆な経営革新に向けて舵を切りました。一生涯に渡りお客様に安心をお届けする「生涯設計」を軸に、日本的経営に範を取りながら80年代に米国で発展を遂げた「経営品質経営」を導入したのです。改革の成果として2001年に日本経営品質賞を受賞した後も、変革の手を緩めることなくCSR経営へと発展させ、更に取り組み強化を進めました。2017-12-12 18.57.43 (2).jpg

2010年に社長に就任した渡邉会長 は、最大の経営革新として株式会社化を実行します。全てを変える決意を込めた「新創業」に挑むにあたり、全社員が新しい会社に入るという意味で、6万人の入社式も行いました。同時に「最大たるより最良たれ」という創業者の言葉を改めて確認する機会にもなりました。単なる相対価値である「最大」に対し、「最良」とは絶対価値を求める果てしなき取り組みであり、経営品質経営におけるクオリティジャーニー(経営品質を求める終わりなき旅)とも符合するものです。さらには、真の価値創造を目指して、DSR(Dai-ichi's Social Responsibility)経営をスタートし、積極的な海外展開をする一方、国内ではお客様に合わせた3生保体制を構築し、2016年には持株会社体制へ移行しました。97年に経営革新へ舵を切ってから20年、時間をかけて支店や地方組織にもDSR経営を浸透させ、第一生命グループは国内顧客1100万人、グループ総資産50兆円企業へと成長を遂げました。

「経営学は金儲けの学問でもなければ、辞書の定義で括れるものでもない。人と組織のマネジメントによって経世済民を為すことである。矛盾の固まりである経営から逃げることなく、課題解決し、弁証法的に価値創造することが重要である。」深い教養と経験に裏打ちされた渡邉会長の真摯な言葉で締めくくられた講義は、多くの学びを得る貴重な時間となりました。

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