2015年12月22日

活動報告

一橋大学大学院国際企業戦略研究科 特別講演会「金融システムの安定と経済成長~金融イノベーションの果たすべき役割 ~」を開催

12月10日(木)一橋講堂にて「金融システムの安定と経済成長~金融イノベーションの果たすべき役割~」と題する特別講演会を一橋大学大学院国際企業戦略研究科が主催者となって開催しました。

efd031c6378fa3ceeee3c459e30cdc3a-300x229.jpgこの講演会では、1997年ノーベル経済学賞の受賞者であるロバート・マートン教授、そしてイェール大学名誉教授である浜田宏一教授をお迎えし、金融イノベーションに対する学術研究の果たす役割についてご講演いただきました。講演会の冒頭、蓼沼宏一学長から開会のご挨拶をいただきました。続いて浜田教授から「アベノミクスにおけるファイナンスの役割 -- GPIFと企業の戦略」と題してご講演いただきました。ご講演の中で、浜田教授は、日本の金融市場の問題点について、とりわけ投資運用業界についての議論を展開されました。

e5eb89b3d2173b725a872a4292cdb127-300x233.jpg次に、ロバート・マートン教授の講演「金融イノベーションとフィナンシャル・サイエンス- -- 金融の安定化と経済成長」が行われました。この講演で、マートン教授は、自身の研究成果や金融実務界での経験をもとに、金融におけるイノベーションがより良い社会の実現のためにいかに貢献してきたか、また学術研究がそれをどのように支えてきたかということについて、金利の自由化によって金融機関が抱えこんだリスクを金利スワップによって適正に配分できるようにした例、ドイツ統合時に旧東独ライプツィヒへの西欧からの天然ガス供給をスワップによって固定価格化しパイプライン建設費を大きく抑えることに成功した例、今後の退職年金を支えるための金融イノベーションが世界で必要とされていること等を挙げて議論されました。また、講演の最後では、(金融・経済界には)伊藤のレンマで知られる数学者・故伊藤清教授の研究がこれらの金融イノベーションを支える研究の基礎となっていることを讃え、その意味で日本は既に大きな貢献を金融の世界になしているので、これからももっと大きな貢献をできるよう頑張ってもらいたい、とエールを送られました。

最後に両講演者が登壇し、今後の金融に関する学術研究と金融実務のあり方について討論していただきました。平日にもかかわらず約300名を超える方々にご参加いただき、大変に盛況で有益な講演会となりました。

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