2017年03月01日

修了生向けイベント 入試関連イベント

[2017.3.15] 平成28年度・修士論文(優秀論文)発表会のご案内(各論文の概要をアップしました)

 一橋大学大学院経営管理研究科では、金融戦略・経営財務(FS)コースを修了予定(平成29年3月修了予定)の学生の代表者による「平成28年度 修士論文(優秀論文)発表会」を開催いたします。

 当イベントは、学内関係者に限らず、学外の方でもご自由にご参加いただけます。また、論文発表会後に10分程度の金融戦略・経営財務(FS)コース紹介を行う予定です。本コースにご興味・ご関心のある方のご参加も歓迎しています(終了しました)。

 なお当日は、3月15日発売の本コース編書籍『MBAチャレンジ〈金融・財務〉』(中央経済社)を、定価2,600円+消費税のところ2,300円(消費税込)で販売致します!

多くの方々のご参加を心よりお待ちしております。


概要


< 日時 > 平成29年3月15日(水)

   【開場】18:00
   【論文発表会】18:30 -- 19:30
   【コース説明】19:35 -- 19:45(終了予定)
< 会場 >
   一橋講堂・中会議場(学術総合センター2F )
   [会場住所]東京都千代田区一ツ橋2-1-2

< 論文発表会プログラム >

論文発表は、2会場で並行して行われます。一論文各20分で各会場3名計6名が発表します。2会場の行き来、途中参加・退出などは自由です。

≪第1会場≫

18:30~19:30  

  山嵜 祐貴「日本の派生商品市場が現物株式市場に与える影響 -取引量データに基づく実証分析-」
【概要】本研究は、日本の派生商品市場が現物株式市場の売買活動に与える影響について検証するものである。わが国では古くから先物市場が現物市場に悪影響を及ぼすという「先物悪玉論」が主張されてきたが、その影響について実証的なコンセンサスは得られていない。本研究では、売買活動の指標である取引量を切り口に両市場の特徴と動的関係に関する四つのサブテーマに分けて計量的分析を行った。分析の結果、両市場は取引を補完する関係にあり相互に影響を及ぼしあっていること、両市場の波及効果は現物株式市場の流動性を向上させていることが確認された。この結果は、派生商品市場の存在が現物株式市場の質の向上に寄与していることを示唆している。

 

  磯部 好孝「SNS情報と高頻度取引データを用いた株価リターンの実証分析 ~Twitterと高頻度取引との関係~」
【概要】本研究は、リアルタイムに入手が可能なSNS情報の1つであるTwitterと個別銘柄の株価リターンとの相関について実証する。実証にあたり、対象企業銘柄に関するTweet内容から算出した感情極性値やTweet数、日経平均や企業の株価の高頻度データを用いる。本研究の目的は、Twitterのセンチメント指数としての意味合いを明らかにする点にある。推定モデルに資本資産評価モデル(CAPM)を採用し、超過期待投資収益率(α)および企業銘柄と株式市場の連動性を示すリスク指標(β)との関係を観測した。推定結果より、Tweet数が多い場合にβが低下する傾向にあること、また一部の企業では感情極性値とαおよび株価リターンの残差のボラティリティとの間に有意な関係を確認した。

 

  監物 輝夫「CoVaRによるシステミック・リスク計測 ~確率的コピュラによる比較分析~」
【概要】様々な方法でシステミック・リスクに関する分析が進められているなか、本研究ではCoVaR 及びD-CoVaRというシステミック・リスク指標に着目し、特徴や性質について整理するとともに、本研究では新たに確率的コピュラモデルを用いて依存関係を動的に評価し、日本のデータを用いて先行研究との比較分析を行った。当分析では、設定したCoVaR 及びD-CoVaR の水準に対して、周辺分布を時間変化させる動的なモデルを用いて計測の有効性を示し、確率的コピュラモデルがDCC-GARCH モデル及びTVP コピュラモデルと比較して依存関係を柔軟に評価できていることを、周辺分布を時間変化させない静的なモデルや順位相関を用いた分析を通して示している。

≪第2会場≫

18:30~19:30  

  蒔苗 浩徳「ファミリー企業の財務政策について ~東証一部上場製造業データから~」
【概要】ファミリーは企業のキャッシュをどのように活用するのか。本研究は東証一部上場企業の支配構造や財務データに基づいてファミリー企業の財務政策の傾向を検出する試みである。ステークホルダーの重大な関心事であるキャッシュの配分(pay-out、経費、設備投資、研究開発)がファミリーの支配形態、あるいは非ファミリー企業と比較してどのように異なるのか、重回帰分析やTobitモデル、そして追加的に操作変数--二段階最小二乗法などを通じた実証分析を行った。ファミリー企業は配当、経費、設備投資は高いが、高リスクの研究開発には怯懦性を持っていること、特にファミリーの株主としての力の強さがこれら配分に際してのdriverになっているとの示唆を得た。

 

  佐々木 真佑「本邦中小企業の取引銀行数に係る実証分析 ~決定要因と経済的ショックによる変動~」
【概要】本稿は、本邦中小企業における取引銀行数の決定要因を実証的に分析するとともに、経済的ショックによる取引銀行数の変動を明らかにしたものである。推定結果から、(1)中小企業と金融機関の間に、理論と整合的な取引決定メカニズムが働いていること (2)企業が生み出す経済的利潤が増加するほど、取引コスト・モニタリングコストの存在によって生じていた両者の行動制約が緩和されること (3)リーマン・ショック後の景気悪化局面において、中小企業に対する金融システムとしてのセーフティネットが働いていたこと (4)企業規模が相対的に小さく地方圏に所在する中小企業ほど、経済的なショックによって流動性保険動機が高まりやすいこと、が確認された。

 

  大野 千晃「商号変更が企業価値に及ぼす影響」
【概要】本稿では2004年から2016年までに商号変更を行った国内上場企業を対象として、商号変更が株価と企業業績に及ぼす影響を分析した。分析にはProbitモデルに基づくプロペンシティスコアマッチングによるDiD(Difference in Differences)を用いて、商号変更期前後で株主数、株式流動性、企業業績の変化について、商号変更企業群と非商号変更企業群の間に差異があるのかどうかを検証した。またイベントスタディにより株価変動を検証した。分析の結果、商号変更により投資家の認知が高まる場合、株主数が増加し株式流動性が向上し、イベント日の株価が上昇したことが分かった。新商号を検討する際は投資家の認知の変化を一つの切り口にすることが有効だという示唆が得られた。

 

19:35 ~ プログラム紹介 伊藤 彰敏教授当コースディレクター)より説明



参加申込み 


【参加料】 無料
【参加申込】事前申込の受付は終了しました。

(参加申し込みが間に合わなかった方は当日直接お越し下さい)



交通案内


● 東京メトロ東西線 竹橋駅1B出口より徒歩4分
● 東京メトロ半蔵門線、都営三田線、都営新宿線 神保町駅A9出口より徒歩3分
[参照]https://www.fs.hub.hit-u.ac.jp/access/chiyoda/