修了生の活躍

女性にとって人生の多忙期とキャリアアップの時期は重なるもの、1つしか選べないことはない

GCAサヴィアン

ディレクター

阿部 美紀子さん

2006年3月修了

FSで学ぼうと考えた理由は?

不動産取引の背景にある経済を学びたい

学生時代に不動産鑑定士の資格を取り、不動産鑑定・評価を専門に行う財団法人に就職しました。専門知識を活かして不動産の鑑定・評価に関連するコンサルやレポートをつくる業務を行っていましたが、バブル経済後の不動産市場の激変を感じながらの日々でした。仕事を初めて5-6年たったころ、不動産業界ではJ-REITもスタートし、金融工学の考え方が流れ込み、閉鎖的な不動産市場に変革の波が起こりました。この激変期に不動産市場およびその背景にある実体経済をもっと見てみたいと考えるようになりました。まだ当時は金融工学と不動産は距離がありその橋渡しができるような書籍や先例も限られていました。そこで、それらをつなぐような勉強がしたいと強く思うようになり、社内の留学支援制度を使って大学院に通うことを思い立ちました。
大学院といってもいろいろありましたが、私は大学院で得たものを仕事に活かすことが大前提でしたので、①働きながら通えること(現役の社会人が多いこと)②講義内容が理論と実務のバランスがとれていること③卒論があること(学んだことを不動産市場と結びつけた勉強成果を出すこと)という優先事項を明確にしました。FSはこれらの他、基本的に平日の夜のみ授業が行われるため家族がいる自分にとって土日が有効に使えるということ、日頃忙しいであろう金融機関の人も多数通っていることを知りました。さらに、入学試験が書類と面接のみで、自分がやりたいことを説明し意欲を認めてもらえれば難しい学科試験を経なくても入れてもらえるチャンスがあるということもわかりFSを受験することに決めました。

FSで学んだこと、印象に残っていることは?

文系ゆえの苦労、他業界の人との出会い

入学してまず苦労したことは微分積分や統計学等の数学科目でした。金融を学ぶには避けて通れず、基礎科目として指定されていたのですが、私は文系出身なので授業についていくのが非常に大変でした。ただ、授業では単純に数学として勉強することのみならず、それを使ってどういうことができるのか、実際の業務でどういう使い方ができるのかという先が見通せる授業だったため意欲を持って取り組むことができました。また、学生同士も仲が良く、夜遅くまで学校に残って宿題をこなすこともあり、数学が得意な理系出身の人たちにたくさん助けてもらいました。普段は知り合うことのない業界の人たちと年齢も役職も越えて同じ学生として話し合える機会があったことで何よりものの見方が広がり、人脈も広がりました。

理論と実務の授業をバランス良く学べる

授業も様々な内容から選択でき、とても刺激的でした。より理論的な授業から、ビジネスの実務で活躍する方からの生の声が聴ける講義まであり、非常にバランスのとれたカリキュラムになっていたと思います。実際に活躍中の方や話題のM&Aを行った会社の方からのお話が聞けた講義は非常に興味深い貴重な講義だったと思います。また、理論的な授業においてもデータをブルームバーグや最新の企業の決算資料から取り上げ、命題や課題も実務に近いものを設定する等社会人として意欲と興味がわく授業だったと思います。学生と先生の距離が近く、いつでも質問・発言できる関係でいられることもFSの良さだと思います。

女性として、母としてどのように学業と向き合ったのか?

家族の支えもあって、2年で必要な単位を取得

abe2.jpgFSに入学を決めたあと妊娠が分かり、入学した年の夏に出産を控えた状態でした。最初はとても不安でした。このまま通学すべきかどうか非常に悩みました。先生方にもご相談したところ励まされ応援していただきました。お蔭で、周囲の理解や協力もあり、とりあえずできるところまで頑張ってみよう、あきらめるのはいつでもできると考え通学を決意しました。ただ、最初から他の人と同じように2年で修了するのは難しいと判断し、2年間かけて授業を取り、3年目に修士論文を書くというスケジュールにしました。
子どもが生まれるまでの最初の前期は取れるだけ授業を取り、子どもが産まれてからの半年は週2コマのペースにして、2年目はまた授業を増やすというスケジュールでなんとか2年で必要な単位を取りました。
授業がある日は子どもを実家に預けたり、ベビーシッターを活用するなど、使える手段はすべて使いました。甘えられるところは甘え、平日を学業に費やす分、土日は家族で過ごす時間を大切にする等できる範囲で精一杯バランスをとるように努力しました。

2度目の出産を控え、FSもサポート

3年目は修士論文に費やしましたが、そのときに2人目の子どもを授かりました。修了試験のタイミングがちょうど出産予定という時期で、先生に試験の時期を前倒ししていただくなど、無理のない範囲で協力を頂きなんとか修了することができました。 在学中に2度の出産を経験し、個人的にも非常に大変でしたが、家族やFSの先生方、そして学友たち卒業して10年になりますが、あのときあきらめず歯を食いしばってよかったと本当に思っています。

FSで学んだことが、現在の業務にどう生かされているか?

FSでの出会いが新しい道を切り開く

FSで様々な業界、各業界における多様な考え、金融の世界を学生、先生、講師の方々から知ることができ刺激を受ける中で、より企業の成長や動きに近いところで仕事をしてみたいと思うようになりました。特に、佐山先生の授業の中でM&Aの生々しい世界を知り、ぜひM&Aの世界でチャレンジしてみたいと思い転職を決めました。
今の業務はM&Aを行う企業へのアドバイスや契約のとりまとめなどを行う仕事です。前職の知見が活かせる部分もありますが基本的には新しい業界でのチャレンジとなりました。FSで勉強した授業はコーポレートファイナンや企業価値評価の授業等直結して、業務に活かせる授業も多くありましたが、ものの考え方や業界のとらえ方を含め間接的に活かせる授業もたくさんありました。
私が女性であること、子どもがいることも、会社はひとつの個性として尊重してくれます。M&Aは半年、あるいは1年以上の時間をかけて行う、企業にとっては非常に大きな決断事項となります。私も常にパソコンと携帯電話を持ち歩き、忙しいときは24時間体制で対応できるようにしています。逆に言えば、仕事ができる環境があれば必ずしもすべての時間をオフィスにいる必要はありません。会社や業務プロジェクトメンバーの協力もあり、忙しいけれど融通が利く、厳しいけれど子育てをしながらなんとかやりくりできる、とてもやりがいのある仕事に巡り合えました。あきらめずにFSで学び、いろいろな方に出会えたことで、自分のキャリアアップも家庭もあきらめない新しい道を切り開くことができました。

FS金融戦略・経営財務コースを志す方にメッセージをお願いします。

諦めないこと、5年10年の長いスパンで考えること

女性にとってはキャリアアップの時期や結婚、出産や育児が制約になって、大学院に通いたくても「無理なのでは」と諦めてしまうことが多いと思います。女性は特に自分のキャリア形成の上で、インプットとアウトプットのバランスを取りながら過ごしていくのは何かと難しい局面も多いのではないかと思います。でも、節目節目で柔軟に優先順位を変え全体としてバランスを取っていくことが、仕事、家庭を両立していくうえで必要であると考えています。5年、10年単位で将来を考えていくとき、ある一定期間思い切ってインプットの時期にするのはその後の人生に大きな活力をもたらしてくれます。思わぬ活路を見出す可能性もあります。何かを選べば何かをあきらめなくてはならないのではなく、あれもこれもバランスをとって挑戦してみることは、もし途中であきらめざる得ないときがやってきたとしても、きっとその後の人生にとってプラスになると実感しています。
FSでの3年間は言葉では表現しきれないことも含めて、本当にたくさんのものを得られました。実際、通学中はとても大変だったと思います。でも、女性だから出産があるからといって諦めずにFSに通ったことは、私にとって人生の重大な好機になったと思っています。
頼れることができるのなら、周囲の理解があるのなら、5年10年のスパンで別の形で恩返しをするつもりで家族や周囲に頼ってしまう時期があってもいいのではないかと思います。子供たちにも母の頑張っている姿を見せることは決してマイナスではなく、何より生き生きとした姿を見せられるのは素敵なことではないかと考えています。是非あきらめず挑戦してください。

※本記事の内容、肩書き等は2014年10月当時のものです。

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