修了生の活躍
三井住友銀行
企業調査部 シンガポール駐在 上席部長代理
甲斐中 明さん
2009年3月修了
私が長年従事している調査業務は、金融、会計、経営全般にわたる知識を求められるうえ、信用リスクモデルの構築にも関わる部署であることから、大学院への入学を通して体系的に金融や経営に関する知識を習得したいと思っていました。加えて、所属する企業調査部は従来行内向けの情報発信やレポート作成といった業務が中心でしたが、入学する前後では顧客宛ての情報提供、あるいは事業戦略や経営戦略に関する提案業務を行い始めたタイミングでもあったため、企業の戦略立案に関する知見をより一層求められるようになってきた時期でした。そのため、一橋大学大学院の各プログラムには大いに魅力を感じました。
最も印象に残っている授業は、三浦先生の統計学に関する授業です。先輩方からの噂話で、相当に大変な授業と聞いておりましたが、噂以上の内容でした。私自身、高校の途中から文系一筋で生きてきたものですから、三浦先生の授業を最初に受けたときは見知らぬ国の呪文を聞いているようで、全く理解できなかったことをよく覚えています。
一方で、私自身が最もスキルアップできたと実感したのも実は三浦先生の授業でした。毎回宿題が出されるのですが、徐々に統計学の理解が進み、最終的には業務の様々な場面で活用してみたい、というイメージが膨らんでいきました。結果として、業務においても自動車販売台数予測や海運市況予測等で統計手法を活用する等、実務上で役に立つスキルを身につけることができました。
佐山先生と服部先生の授業は、経営戦略やM&A案件に触れることの多い私の業務に直結する内容が豊富にあり、大変勉強になりました。毎回超一流のゲストスピーカーに登壇いただき、講話を拝聴できる佐山先生の「企業価値向上論」は他では得難い授業でしょう。
また、野間先生の授業も、コーポレートファイナンスについて体系立てて学ぶことができ、後々の業務にも大いに役立ちました。
そして、何より落ちこぼれの一人であった私に対し、最後まで熱心にご指導くださった伊藤先生には心から感謝しております。おかげさまで、納得のいく形で卒業論文を作成することができました。
学業以外で得たことと言えば、何といっても同期の絆でしょう。辛い宿題も同期の間で助け合ったことで何とかクリアすることができましたし、卒論作成の際には正月休み返上で同期とともに大学院に通ったものです。飲みに行けばまさに「学生」のような騒ぎで、密度の濃い学生生活を共有することができました。
卒業後も定期的に同窓会を開いているほか、同じクラスのメンバーが4人、ASEANで勤務しており、同志が駐在する国に出張した際には、再会を祝して飲んでおります。
第一に、睡眠時間を削りました(笑)。半分冗談、半分本気ですが、とにかく日々の業務を効率的に進めていくことを心がけていました。仕事場に残ろうと思えば残れる業務環境から、18時には会社を出なくてはならない制約が生じましたので、一日の間に何を終わらせるべきか、翌日に何をすべきか、よく考えながら仕事をしていたのを覚えています。会社を出てからは仕事からFSに頭を切り替えることも徹底するようにしていました。FSで十分「仕事」がもらえますので......。
同期と一緒に考えることも効率化になりました。宿題もできれば持ち帰らず、授業後に同期と居残りして、ある程度終わらせて帰る(ついでに一杯飲んで帰る)、そんな生活をしていた記憶があります。
FSで学べることは、当然ながら海外でもそのまま通用します。統計学、会計、コーポレートファイナンス、経営戦略、M&A等々、当時学んだ知見は私の血となり骨となっています。日々の業務から完全に離れることが難しい人でも、しっかりと体系立った形でグローバルに通用する知識を身に付け、同期と切磋琢磨しながら、自己の能力を伸ばすことができるのは、FSならではではないでしょうか。
また、FSで得た大事なものは、やはり人脈です。同期、先生方、先輩後輩等、多くの刺激的な方々に囲まれて過ごす2年間は、振り返れば貴重な時間でした。加えて、当時はあまり認識していませんでしたが、FSには最近世間でもよく言われる「グローバル人材」が多かったと思います。先に申し上げた通り、ASEANだけでも同期が4人働いているという事実は正直驚きました。おそらく、会社は違えど、チャレンジ精神が旺盛で、様々な可能性にトライしていく人材が集まっていた結果、グローバルに活躍する卒業生が増えているのではないでしょうか。
私がFSを修了して得た最大の成果は、自分の「枠」を広げられたことです。上述の通り、私は文系出身で早々に数学を捨てた人間でした。そのため、授業の理解や単位取得に本当に苦労しました。一方で、助けてくれる仲間はたくさんいますし、頑張れば頑張るだけ先生方もサポートしてくれます。もう一歩、あともう一歩頑張ろう、と思い続けた結果、自分自身納得のいく形で卒業することができましたし、得られた知見もそうですが、30歳を過ぎた自分の限界を広げられたことが、最大の成果であったと実感します。
現状に満足していない方、一層の自己成長を望む方。ぜひ、FSの門戸を叩いてください。なかなかハードですが、充実した生活を送れることをお約束します!
※本記事の内容、肩書き等は2014年10月当時のものです。
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