修了生の活躍

学び続けることが人生を豊かにする。FSでの6年間は、私の職業人人生のハイライト

日本トイザらス

代表取締役副社長 兼 最高財務責任者(CFO)

石橋 善一郎さん

2009年3月修了

FSに入学する前のキャリアは?

アメリカでMBAを取得

新卒で富士通に就職して、最初は日本の本社で海外子会社の管理会計に携わっていましたが、3年半ほどしてアメリカの子会社に行くことになりました。アメリカで2年半働いた頃に、スタンフォード大学大学院のビジネススクールに願書を出したら合格したので、MBA(経営学修士号)を取るために2年間通いました。会社は当初、休職したのですが、結局は退社することになりました。
修了後は経営コンサルタントを1年半経験したあと、もともと得意だった管理会計の仕事をしたいと思い、半導体大手のインテルの日本法人に経営管理担当のマネージャーという役職で入社しました。

ファイナンスを統括する立場に

インテルには14年間、在籍しました。最初は管理会計を担当していましたが、やがて財務会計にも携わるようになり、「ファイナンス・コントローラ」と呼ばれる、財務会計と管理会計の両方を統括するポジションに就きました。しかし、日本法人ではこれより上のポジションは望めないと考え、本社に掛け合ったところ、2000年4月に米国シリコンバレーにある本社に派遣されることになり、マイクロプロセッサを企画、開発、販売する事業部でファイナンス・コントローラとして3年間、働きました。日本法人に帰任して、それまで米国本社から派遣された方が担当してきたファイナンス部門のトップのポジションに就くことができました。

財務の知識を深めるためにICSへ

FSで学ぶことを決めたのは、日本に戻ってしばらくした頃です。ファイナンスのプロフェッショナルとして、株式上場や配当といった資本政策を学んでみたいと思い、財務の知識をより深めるために2度目のMBAを取ろうと考えました。日本でのビジネスに役立つ知識、具体的な分野としてはコーポレートファイナンスやM&Aを勉強したいと思っていた私にとって、FSはまさに理想の場所でした。

FSに入学してから、学業と仕事にどう向き合ってきたか?

株式上場に携わるべく休学、転職

ishibashi2.jpgFSの標準修業年限は2年間で、通常は2年目に修士論文のために実証研究をするわけですが、当時の私は論文のネタが見つからず、仕事も忙しくなったので、2年目は休学することにしました。その後も在学と休学を繰り返して、卒業するのに6年かかりました。ただ、自分にとってこの6年間は、スタンフォード大学でお世話になったバーゲルマン先生のインテルの戦略形成に関する本の日本語訳を「インテルの戦略」という題で出版したり、転職先でM&Aや株式上場を経験できたり、更なる転職先で上場会社の非公開化を経験したり、新しい分野に挑戦できた職業人人生のハイライトといえる時期でした。
休学の理由はインテルを辞めたことでした。インテルは非常に立派な会社で、それゆえに会社の成功に自分がどれだけ貢献できているかよくわからない面があり、ほかの選択肢があるのではないかという問題意識を以前から持っていました。FSの1年目にコーポレートファイナンスについて学んだことも、上場企業のCFOとして働いてみたいという想いを強くしました。当時プライベート・エクイティ・ファンドからの紹介で、ファンドの投資先企業であったディーアンドエムホールディングス(以下D&M)という会社が東証二部から東証一部への指定替えを目指していて、ぜひ一緒にやりたいということで、CFOとして迎えて戴きました。

FSで学んだことを実務で活用

D&Mで最初にしたことは、赤字に陥っていた会社を立て直すための構造改革を実施し、並行して将来の成長のためのM&Aを実行することでした。ここではFSで勉強したことがそのまま役に立ちました。業績が良くなってきたところで東証一部上場に向けたプロジェクトを立ち上げましたが、ここでもFSで勉強したコーポレートファイナンスの知識を活用できました。D&Mは、当初の目的通り、東証一部への上場を果たしました。
2年半ほど働いたところで、D&Mのときとは別のプライベート・エクイティ・ファンド経由で紹介していただいたのが、現在勤務している日本トイザらスです。2007年11月に転職して、今に至ります。

休学中もゼミには参加

FSの話に戻ると、休学した2年目以降も毎週ゼミには参加していました。自分は修士論文を書けないけれど、同級生がどのようなアプローチで修士論文に臨んでいるかを参考にしたり、先生やクラスメートとコミュニケーションを取り続けたりしながら、FSとのつながりは保ち続けていました。
入学して5年目までは修士論文のアイディアが浮かびませんでしたが、転職した日本トイザらスがジャスダック証券取引所上場企業として実施していた株主優待制度を廃止したことがヒントになり、株主優待制度の是非をテーマに実証研究を行いました。在学4年、休学2年、合計6年間の在籍で無事、修了できました。

社会人がFSで勉強する意義とは?

ビジネスパーソンとしての立ち位置を探すプロセス

FSは社会人のための学校だから、ほとんどの学生が働きながら通っています。働く人にとっての優先順位は、やはり自分の職業人としてのキャリアの開発だと思います。修了すること、修士論文を書くことは必ずしも優先順位の第一位ではない。自分にとってFSで勉強することは、ビジネスパーソンとしての立ち位置を探すひとつのプロセスと考えていました。
組織論に「経路依存性」という概念があります。サラリーマンがビジネスパーソンとして進化する場合も、通るべき経路があると思います。FSは、自分が今立っているポジションを、組織の枠を超えた広い視野で相対化するための知識が得られる場所であり、将来経営者を目指す人にとっては重要な経路になるはずです。

自分が何を成し遂げたいのかを考える

大学院には修士課程という場があって、その分野のエキスパートである先生がいらっしゃって、ゼミに行けば自分と同じような問題意識を持つクラスメートとのつながりができる。一人で勉強していては決して得られない貴重なものです。
現在は筑波大学大学院の博士課程に通っています。稲水伸行先生のゼミで組織論とリーダーシップを研究しています。FSと同じように在学と休学を繰り返しながら、論文のテーマを探っている段階です。休学中でも毎週土曜日は必ず大学院に行くようにしています。
ビジネススクールは、自分が何になりたいのか、何を成し遂げたいのかを考える場所であると思います。もちろん、そんなに簡単に答えは出ません。私も未だに迷っています。そうした問題意識を持つ仲間とともにディスカッションや研究をできる場は貴重だと思います。

先生と学生が語り合えるゼミ

ゼミは先生やクラスメートと直接話ができる、非常に意義深い機会でした。最初の2年間は佐山展生先生と中野誠先生のゼミに、後半の4年間は野間幹晴先生のゼミに所属しました。授業は基本的に先生が一方的に話すものですが、ゼミは自分が発言してナンボの場。FSはゼミの時間を特に大切にしているので、学生にとって得られるものは大きいと思います。
修了後も、佐山先生のゼミで現役学生と卒業生が毎年、甲子園で交流する機会があるなど、先生やクラスメートとのコミュケーションは続いています。修了生が科目履修生として授業を受けられる制度や、修了生による寄附講義の開催など、先生や同級生、後輩と関わる機会が多いのもICSの素晴らしいところです。

FS金融戦略・経営財務コースを志す方にメッセージをお願いします。

年齢に関係なく、他人の意見を聞くこと

私がFSで学んだのは44歳から50歳のときでした。ほかの学生はほとんどが25歳から35歳くらい。でも年齢は関係ありません。ビジネスパーソンとしてどれだけ経験を重ねても、他人の意見を聞くことの大切さは変わりません。学びたいという気持ちがあればいつでも成長できます。
勉強したから出世するとか給与が上がるとか、そういった即物的な話ではなく、学び続けることがいかに自分の人生を豊かにするかという視点で考えてほしいと思います。そして、学び続けるなら一人で勉強するより、その道の専門家である先生や、同じ問題意識を持つ同志とともに学んだ方が絶対に良いと思います。

※本記事の内容、肩書き等は2014年10月当時のものです。