リレーエッセイ

基礎科目「会計・バリュエーションの基礎」のご紹介

野間幹晴 准教授

2015年12月07日

 私は29歳の時に、FSの金融戦略・経営財務プログラムに着任しました。一橋大学大学院商学研究科の博士課程を修了した後に、横浜市立大学で2年半にわたり教鞭をとった経験しかなかった私にとって、金融戦略・経営財務プログラムの教壇に立つことはチャレンジングなことでした。金融戦略・経営財務プログラムには海外のビジネススクールで既にMBAを取得している学生や、現役のCFOや投資銀行マン、アナリスト、ファンドマネジャーなどが在籍しています。着任した当初、こうした金融のプロフェッショナルに対して何を教えるべきか、という点に頭を抱えていました。

IMG_3886-300x225.jpg つまり、私は「日本のビジネススクールで、アメリカを中心に発展したプログラムをどのように教えるべきか」、という論点に悩んでいました。幸いにも、FSの金融戦略・経営財務プログラムには佐山展生さんや服部暢達さん、また国際経営戦略プログラムの伊藤友則さんなどの実務家教員がいるので、日本に特有な論点と知見を得ることができました。また、学生の平均年齢は着任当初の私の年齢よりも高く、実務経験が豊富です。同時に、日本の資本市場に企業あるいは投資家の立場から参加しており、日本企業と日本の資本市場の実態を深く、また広く知っていました。こうした環境に身を置いた私は、日本企業そして日本市場に固有な論点について知識を獲得することができ、担当する講義に反映させています。

IMG_3881-300x225.jpg 基礎科目の「会計・バリュエーションの基礎」では、基礎的な部分については標準的なテキストに沿って講義し、日本独自かつ重要な論点についてケース・スタディのディスカッションを行っています。例えば、財務諸表分析のケース・スタディでは、日本のビールメーカーと、世界最大手のビールメーカーであるアンハイザー・ブッシュ・インベブ(以下、ABインベブ)、そしてハイネケンを対象として、ディスカッションを行います。これにより、ABインベブが巨額のM&Aを継続できる論理、日本企業の課題を明らかにします。特に、「日本の常識は世界の非常識」であること、そして日本企業は意図せずしてABインベブの競争力獲得に貢献していることを解き明かします。

 他にも、親子上場(NECエレクトロニクス)、キャッシュリッチ企業の企業価値評価、ソフトバンクによるボーダフォンの買収などのケース・スタディを行うことで、日本企業や日本の資本市場の課題について明らかにします。これらのケース・スタディは、日本に特有な論点であり、日本のビジネススクールでカバーすべき内容です。

 日本のビジネススクール、そしてFS金融戦略・経営財務プログラムでしか獲得できない知識を得るために、FSでお会いしましょう。

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