Fin Techゲストスピーカー

FinTechに対する金融庁の取り組み

金融庁 総務企画局政策課 課長補佐

久米 均 氏 氏

2017年01月18日

経歴

平成20年金融庁入庁。総務企画局国際室でのFSB(金融安定理事会)等における国際的な金融規制改革の担当、監督局証券課での大手証券会社の担当等を経て、平成27年7月より現職。平成27年12月に金融庁に設置した「FinTechサポートデスク」を担当し、FinTech企業から寄せられる法令面等の相談に対応。

2017年1月18日のゲストスピーカーは、金融庁総務企画局政策課・課長補佐の久米均氏に登壇いただきました。

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FinTechをどのようにとらえるか

FinTechが金融業や市場に変革をもたらしつつある中、金融庁としては「金融サービスのイノベーションを通じて、国民にとってより良いサービスの提供が図られるかどうかが重要である」と久米氏は強調します。 しかしながら、FinTechの流れに対応した環境整備や、既存金融機関における戦略的な対応には課題があることも事実です。例えば、FinTechを活用した金融サービスには、複数の法をまたぐなど、既存の規制体系では括ることができないものも出てきています。

どのように取り組んでいるのか

金融庁は現在、FinTechによる環境変化に対し、関連する法律の整備にとどまらず、FinTech新規参入企業に対するサポートなどにも取り組んでいるとのこと。 久米氏はFinTechに関する相談を受け付ける「FinTechサポートデスク」の立ち上げに携わられました。2015年12月にサポートデスクを立ち上げて以降7か月間で相談件数は91件にのぼり、内8割弱は法令解釈に関する相談だったといいます。相談内容をサービス別にみると、金融機関と顧客との間に立ったサービス提供に関するものが最も多かったそうです。また、既に相談が終了した46の案件の内4割において現行の金融規制への対応が不要と回答しているほか、相談終了案件は平均して4営業日前後で対応しているようです。こうした話からも、多くのFinTech企業がビジネスプランを具体的な形にまで詰めた上でサポートデスクに相談を持ちかけていることがうかがえました。

今後の展望

FinTechが世界的な規模で加速する中、利用者保護を確保しつつ、金融機関とFinTech企業とのオープン・イノベーションを進めて行く必要性が高まっています。その中で、日本におけるFinTechの今後の金融庁の取組み例として、久米氏は、銀行等と利用者の間に立ってサービスを提供する中間的な業者についての制度整備に関する議論を紹介されました。 このような環境整備に加え、FinTechによる変革の動きについて、「サポートデスクによって一つ一つの案件に丁寧に対応していくことも大事だ」と久米氏は強調します。行政の意思決定には時間がかかると言われますが、次なる意思決定に向けて、情報収集などを通じて着実に準備を進めていく行政官としてのあるべき姿勢を目の当たりにした講演でした。

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