ゲストスピーカーのご紹介

演題「リンガーハットの経営戦略」

株式会社リンガーハット

代表取締役会長兼CEO

米濵 和英 氏

2017年10月31日

2017年10月31日の佐山展生教授の授業「企業価値向上論Ⅰ」では、ゲストスピーカーとして株式会社リンガーハット会長の米濵和英氏にお越しいただきました。

 米濵会長は鳥取で育ち、高校生卒業後長崎県に移ります。長崎ではお兄様がとんかつ店「浜かつ」を創業しており、米濵会長もお店のお手伝いをしました。その際、お客様が使うゴマのすりこぎを置く場所の確保が難しく、「わざわざこんなことをしなくてもいいのに」と言うと、お兄様から「なんのために仕事をしているのか」ときつく叱られたそうです。こうした経験から、リンガーハットの社員に対しては、「お客様第一と言いながら、働いている自分たちの都合のいいようになっていないか」と常に問うようにしているとのことです。


yonehama2.jpg 長崎ちゃんぽん展開後はその味にこだわり、輸入野菜から国産野菜への転換、麺を製造する機械や、野菜の加工まで内製化を進めます。輸入野菜は、一度ボイルしてからの輸送となるのでリードタイムが長くなり味が全く変わってしまいます。そこで13億円の費用をかけてキャベツ、もやし以外の輸入野菜を国産野菜に切り替える経営判断をされます。キャベツ、玉ねぎなどは契約栽培を、もやしなどは自社で栽培し、自然の影響を受けやすい野菜をふんだんに使った商品をおいしく安全に国産だけで安定供給することを実現されました。また麺や野菜加工の製造機械を内製化し、茹で時間の短縮や麺の質の安定を実現します。米濵会長は、「自分たちで苦労して作るからその過程が財産になり、自社に技術が蓄積されていく。そういう考え方でやっています。」と語ります。

 米濵会長は、リンガーハットの将来像について「ちゃんぽんを日本の日常食から世界の日常食へと発展させたい。また農業も、ハウス栽培を充実させて、目指す国内1000店舗へ安定供給できるようなシステムを確立したい」と語り、自社だけではなく農業界全体の発展を目指しています。次期社長の基準については、「社長は足元の状況を把握できるだけじゃなく、将来のビジョンを描き、そこに向かって引っ張っていける人、そして現状で実績を作っている人が望ましい。そうでないと周りは納得しません」と考えます。

 米濵会長のお話しからは、常にお客様のことを考え、そして外食産業や農業界全体の発展のために考え行動されている、そんな姿を伺うことができ、大変に興味深いご講演でした。

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