ゲストスピーカーのご紹介

演題「サーバントリーダーシップによる経営改革~率先垂範型組織作りのために~」

株式会社アデランス

代表取締役社長

津村 佳宏 氏

2017年11月07日

2017年11月7日に佐山展生教授の「企業価値向上論Ⅰ」のゲストスピーカーとして株式会社アデランスの津村佳宏社長にお越しいただき、アデランスの再生における抜本的な組織改革についてご講演いただきました。

1968年に男性用オーダーウィッグ事業で創業したアデランスは、現在トータルヘアソリューションとして世界17か国に58社を展開しています。1985年9月には株式店頭公開し右肩上がりの売り上げを実現してこられました。しかし停滞気味になった2009年には米国系ファンドのスティールパートナーズ(以下SP)が株式を大量保有し、経営を行うようになります。その経営はトップダウン方式で、短期的な利益確保のためのコストカットや人員整理が断行されます。社名変更の余波や各種提携関係の解消もあり業績は悪化。営業赤字も計上してしまいます。人材流出の結果、競合他社が増えるなどマーケットも大きく変化しました。津村氏3.jpg
そして2012年には創業者である根本信男氏が社長兼会長として再招聘され、津村氏も執行役員として改革に乗り出しました。SPは2014年に撤退します。
津村社長(当時副社長)は改革の経営ビジョンに「グッドカンパニー実現」を掲げ、中長期的な経営安定のために最も大きな決断をされます。事業全般の毀損修復、低価格ウィッグ増大による女性ウィッグ事業の苦戦、M&Aを中心とした海外事業の「のれん償却」の負担や「為替差損」の問題について腰を据えて対処するためにMBOによる株式非公開化を決意、2016年に実行されたのです。
社員、お客様、そして社会的責任にとって「よし」を目指す「ECSR三方よし経営」と、全社員が主役という「サーバントリーダーシップ経営」によって、これまでの強過ぎたトップダウン経営により下がってしまった社員の帰属意識やモチベーションを復活させ、理念やビジョンの浸透を徹底します。また事業についてもR&Dを強化し、産学連携の共同研究などでオンリーワンイノベーションを生み出します。CSR活動は事業と一体化した、病院内のサロン導入や病院への医療用ウィッグの寄付を行い、社員の帰属意識や顧客や社会からの信頼を醸成したそうです。

津村社長全体.jpg

より多くの毛髪に悩みを抱える人の悩みを解決し、笑顔を増やす。その実現のために再生に奔走されている津村社長。「今は社員に心配されるくらいに全力疾走すると決めている。24時間会社のことを考えています。それが経営者の責任だと思います。それに、自分の仕事の結果がどうなるのかワクワクします。」と話してくださいました。社員のことを想い、お客様のことを想い、社会のことを想う。そんな経営者の責任と覚悟を感じる津村社長のご講演でした。

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