2020年10月20日
修了生向けイベント 活動報告
FSファイナンスクラブとは、FS金融戦略・経営財務プログラム卒業生とゲストが集い、最新の話題にふれて意見を交換すると共に、新たな仲間と知り合ってネットワークを広げる集まりです。
2020年8月27日(木)、「コロナ後の資産運用業界について」という題目で、13回目のファイナンスクラブをZOOM会議にて開催しました。初代の学生2000年入学の4名によるパネル形式の講演とZOOM懇親会の2段構成でした。
■日時:2020年8月27日(木)19-21時
19:00-20:00 パネルディスカッション
20:00- 21:00 オンライン懇親会
■ 講演タイトル:「コロナ後の資産運用業界について」
■講演者:
司会・モデレーター:中村 信弘 教授
パネラー:2000年入学の4名
山下 隆氏(東京理科大学 研究推進機構総合研究院 教授(客員))
星野 元伸氏(アセットマネジメントOne 運用本部 運用本部担当常務、)
柴崎 健 氏(みずほ証券 市場情報戦略部長)
岩崎 宏明氏(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社 常務執行役員)
<山下さんによる冒頭講演の内容>
新型コロナは社会に大きな混乱を与えており、その影響の推移について大きな関心が払われている。経済活動自粛と経済成長の関係について取り上げられることは多いが、強力な自粛ほど経済が悪化する的な単純な議論が多いようである。
今回マルチエージェントモデルを用いて、自粛と経済成長の不確実性についてのシミュレーションを行った。その結果、自粛と経済成長は線形な関係になく、自粛が中途半端になるほど経済成長が低く、かつ不確実性が大きくなるという結果が得られた。
不確実性を考慮する投資理論的な考え方が、新型コロナ対策にも応用できる可能性があるかもしれないというのは実に興味深い。」
<パネルディスカッション>
1、新型コロナで仕事にどんな影響が出ているか。
新型コロナが炙り出した資産運用ビジネスの矛盾、新たな気づき等々、個人的な悩みも交えて話が広がった。
2、新型コロナ終息(収束)後、社会はどう変わっているのか?
ダイレクトな「資産運用ビジネスの未来」よりは話し易い切り口から、資産運用に絡めて講演が行われ、参加者からの質疑も活発に行われた。
3名のパネラーの方々のコメントは以下
星野さん
「コロナをきっかけに、働き方、人との接し方等、社会が変化してきたという見方は正しいと考えるが、特に日本においては、これまで取り組むべきと考えていた課題がより一層明らかになり、これを加速させる方向に大きく作用していると考えています。今まで時間がかかると考えていたことが、本気でやらざるを得なくなり、実はやればできたということが多々あると思います。テレワーク等は最たる例ではないでしょうか。今後は、これまで抱えてきた課題の解決に向けた動きがますます加速すると考えられ、資産運用においても、ESGのみでなく、人生100年時代への対応等、重要な社会インフラとして、社会課題の解決に向けた役割がますます求められることになると考えています」
岩崎さん
「新型コロナの影響で働き方やITの活用など多くのことを考えさせられることになり柔軟性が求められている。今後は既成概念にとらわれない新しい試みも行われ、社会レベル、企業レベルおよび個人レベルで意識改革が起こると思われる。」
柴崎さん
「新型コロナ禍はこれまでの社会課題を浮き彫りにして変化を加速させた。投資マネーを見ても、プラットフォーマーやDX関連といった新しい社会デザインを投資家に提示できる企業とそれ以外の2極化が激しかった。このような変革期が続くなか、日本でもエクイティ資金の供給をどれだけきめ細かく行えるか、その仕組みを普及させるかが問われている。今は日本が国際金融ハブとなるチャンスである。」
<懇親会>
パネルセッションを受け、参加者がそれぞれの立場から本件に関する見解を述べ、これまでのオフラインでの懇親会とは一味違った懇親会となりました。