2020年11月25日
ニュース 活動報告
2020年度・第63回「日経・経済図書文化賞」に野間幹晴 教授の著書「退職給付に係る負債と企業行動」(中央経済社)が受賞しました。
<受賞のコメント>
この度、第63回日経・経済図書文化賞を受賞することができました。栄えある賞を受賞することができ、大変光栄です。
カーネギーメロン大学の金出武雄教授が『独創はひらめかない』という書籍の中で「素人発想、玄人実行」というコンセプトを提唱されています。本書は、メディア等でも指摘されている「日本企業がリスク回避的・保守的である」という現象に対して、「それは、なぜか?」という"素人発想"に基づき、会計・ファイナンス・法律などの観点から理論的な仮説を構築したうえで実証的研究を行うという"玄人実行"に取り組みました。
アメリカ等の先進国では、企業年金の受益権を保護する仕組みとして支払い保証制度が存在します。それに対して、日本には支払い保証制度がなく、企業破綻時にも年金の支払い義務を企業に負わせています。本書では、こうした企業年金の受益権保護をめぐる法的な差異のため、日本企業がリスク回避的・保守的な行動をとると考え、内部負債という理論に基づく仮説を構築し、実証研究を行いました。
本書による問題提起を通じて、日本企業のリスク回避性・保守性をめぐる議論が深まることを期待しています。
一橋大学大学院 経営管理研究科 金融戦略・経営財務プログラム 教授 野間幹晴
授賞式の様子
(写真は日本経済研究センター提供)
©︎TOMOHIRO ICHIMURA