2022年03月08日
修了生向けイベント 活動報告
FSファイナンスクラブとは、FS金融戦略・経営財務プログラム卒業生とゲストが集い、最新の話題にふれて意見を交換すると共に、新たな仲間と知り合ってネットワークを広げる集まりです。
第16回は、㈱日本取引所グループの山藤さん(2003年3月修了)と㈱東京証券取引所の西端さん(2006年3月修了)にZOOMにて「金融証券市場DXの可能性と現在地」について講演していただきました。
【開催概要】
■ 日時:2022年2月16日(水)18:30-20:30
18:30-19:30 講演会
19:30-20:30 オンライン懇親会(SpatialChat)
■ 講演タイトル:「金融証券市場DXの可能性と現在地」
■講演者:
司会 金亜賢(大橋ゼミM1)
山藤 敦史 氏(2003年3月修了) ㈱日本取引所グループ IT企画部長 兼 総合企画部フィンテック推進室長
西端 恭一 氏(2006年3月修了) ㈱東京証券取引所 IT開発部 情報システム デジタライゼーション担当部
■ 講演内容のサマリー:
・金融業界は社会がデジタル技術で便利になっているのと比較するとそれほど便利になっていない。証券取引所サービスも同様であり、ベンチマークも同業他社ではなく、あらゆる価値交換プラットフォーム
・データがあるから即ビジネスになるわけではない。スーパーがレシピを提案しながら食材を売るように、データを使い方とともに提案する工夫や、データの試験提供から利用者とともに販売データを作り上げる工夫は効果があった。利用者も、AI/機械学習アルゴリズムへと広がりが出てくる。
・金融業界では、増え続けるデータ量に対して、人間の処理能力が圧倒的に不足している。AI/機械学習は質の問題より量の問題への解決方法に期待している。
・証券の電子化はあくまでも記録の電子化が主眼だったが、近年の証券のデジタルやセキュリティトークンは処理の電子化を組み合わせることで、効率化の限界を取り払う可能性。ゼロから理想の証券をデザインする権利はスタートアップだけのものではなく、金融のプロにも開かれている。
・金融サービスの部品化が進んでいく動きはあらゆる金融サービスに及んでおり証券市場も例外ではない。複数の機能別サービスが組み合わさる金融エコシステムの中では、全体の効率性は各サービスの繋ぎ目に影響する。各サービス事業者が全体を効率化する目線を持たないと、デジタル化の効果が出ない。
・AI, ブロックチェーン, 量子コンピュータといった派手な技術の裏側で、着実に変化を起こす技術が積みあがってきている。DXの推進には地味な技術を押さえながら、短時間で変化できる実力を備えていく必要
・人材育成の問題を解決するためには、インプットだけでなくアウトプットの機会が必要。試合がないのに練習は頑張れない。
・コロナで在宅勤務が進んだように、DXも「やってみたらできた」が多い。裏返せば、今ある技術や人材でもできたということ。外的要因でなく、平時に自分たちで変化を起こせる企業は強い。DXで本当に必要なのは、変化への勇気。
■ オンライン懇親会:
場所をSpatialChatに替えて懇親会を行いました。山藤さん、西端さんとじっくり話し込んだり、久しぶりに先生方に近況をご報告されたりと楽しい時間が流れました。「トリ」には西端さんの「金融落語~保険会社編~」をお聞かせいただき、〆には画面上で集合写真をとりました。