修了生の活躍

FSは金融を志す者の「通過儀礼」。学びたい気持ちを抱ける幸運を大切に

松井証券

取締役財務部長

鵜澤 慎一さん

2007年3月修了

FSで学ぼうと考えた理由は?

修士論文を大事にする校風

松井証券で財務を中心にずっと働いてきました。実務についてある程度分かってきた中で、この道をさらに深掘りしたい、アカデミックな側面から知識を補強したいと思い、2004年にFSに入学しました。ちょうど30歳のときでした。
FSを選んだ決め手となったのは、修士論文を非常に大事にしているところです。ただ授業に出席して、一定の年限が経つと修了してMBAを取得できるというのは嫌でした。修士論文という試練を課されて、求められる水準を満たさなければ修了できないという緊張感のもとで学びたいと思いました。
会社の業務は、大学院に通う障壁にはなりませんでした。個人が自分の責任ですることは好きにしなさいという社風もあり、実際に大学院に通うことで会社に迷惑をかけることはありませんでした。

FSで学んだこと、印象に残っていることは?

相手が社会人でも手心のない、質の高い授業

uzawa2.jpg仕事に関連して、財務の分野を学びました。一方で、金融工学などの数学的な基礎も学べるのがFSの特徴ということで、できる限り数理ファイナンスと計量ファイナンスの分野も学ぶようにしていました。学生が社会人だからといって、手心を加えるようなことは一切なく、授業の質は非常に高いものでした。
通常は2年のところを、私は3年かけて修了しました。2年目の途中で年度内に修士論文を仕上げるのは難しいと感じたのと、2年目も授業をなるべく多く取って、修士論文は3年目にじっくり取り組もうという思いがありました。結果的に、心残りがないくらいたくさんの科目を取れたので、FSで3年間を過ごしたのは自分にとって良かったと思っています。

FSで学んだことが、現在の業務にどう生かされているか?

これから習得する知識や技能の基礎になる

私にとって、FSで学んだことは「通過儀礼」でした。
金融やコーポレートファイナンスの世界で共通の知識とされているものをまっさらな状態で理解して、自分の中に基礎ができれば、そこからいろいろな応用ができます。「ここで学んだこの知識がこの業務に役立っている」という具体的な指摘は難しいですが、知識や技能を高めていくための基礎として、FSで学んだことが息づいています。たとえるならコンピューターのOSのようなものだと思います。
FSに来ても来なくても仕事はできますが、「通過儀礼」を経ずに業務に臨むのは、共通のOSがないままワープロや関数電卓を個々に立ち上げて動かすようなもので、決して効率がいいものではありません。

データや情報にアクセスする際の当たりが付く

ファイナンスに関連する数学や統計の分野についても、すべて理解はできないとしてもその基礎知識に触れられるうえ、具体的なデータベースや情報の集め方、プログラミングについても知ることができるので、日々の業務でデータにアクセスしたり分析する必要が出てきたときに、どうすればいいか当たりが付くようになります。

業務や家庭との両立はどのように実現したか?

若い時期だから苦しむことなく乗り切れた

自分にとってはものすごく大変だったとか、睡眠を大幅に削ったということはなく、修了に3年かけたこともあって、仕事と学業の両立ができないほどの厳しさではありませんでした。夜は毎日勉強していましたが、あくまで仕事が優先であって、業務に影響がない範囲でできました。
自分の場合は結婚がFSの入学と同じくらいのタイミングで、子どもがいなかったことも大きかったと思います。
今からFSに通うとなると非常に難しいと思います。若い時期で生活にしがらみがなかったから、そこまで苦しむことなく両立できました。

FS金融戦略・経営財務コースを志す方にメッセージをお願いします。

大学院で学びたいと思えること自体が幸運

学びたいという気持ちがあって、環境がそれを許すならば、行かなければ後悔すると思います。会社で働く人は年齢的な問題、会社での立場、家庭という3つの事情にどうしても縛られるので、大学院に行こうと思うこと自体が難しいものです。逆に言えば、「大学院で学びたい」と思えるのは、環境がうまく噛み合っているからです。
私は20代の終わりにそうした幸運なタイミングを迎えました。もしこのような幸運に恵まれたのなら、財務や金融の道を志す者の「通過儀礼」としてFSへ行くことを勧めます。たとえこの先金融以外の仕事に携わることになっても、学んだことが必ずどこかで生きるはずです。

※本記事の内容、肩書き等は2014年10月当時のものです。

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