修了生の活躍

仮説検証手法の習得、説明力・説得力の強化、FSで身に付けたものが組織で生きる

ソニー銀行株式会社

新規事業企画部 シニアマネージャー

岡本 奈緒子さん

2013年3月修了

FSで学ぼうと考えた理由は?

公認会計士から転職

現在はソニー銀行の新規事業企画部でシニアマネージャーをしています。大学卒業後は公認会計士の資格を取得して監査法人に就職しましたが、その後証券会社への転職で株式の引受業務やM&Aのアドバイザリー業務などに従事しました。クライアントを支援する業務を続ける中で、実際に自社の経営に携わる仕事に就きたいとの思いが膨らみ、ソニー銀行の財務部門に転職しました。

金融全般について体系的に学べる学校探し

ソニー銀行に転職後、順調に業務を遂行する傍ら、金融全般について体系的に学びたいと考えるようになりました。それはちょうど社会人として働き始めて10年近くたった頃のことです。最も希望に適した学校を探していたところ、職場から徒歩5分という好立地にFSを発見しました。他の金融系大学院とも比較しましたが、少人数制のゼミと修士論文指導の充実度、共に学び議論する学生の質の高さから、一橋FSに決定しました。

FSで学んだこと、印象に残っていることは?

深い議論ができるゼミ形式

少人数制で手厚い指導はもちろん、ゼミ生同士で深い議論等を行うことができるのがFS金融戦略・経営財務コースゼミ(演習)の特色ではないかと思います。
ゼミの時間は自由闊達な議論が飛び交い、新たな気づき・発見の多い充実した時間でした。ゼミ生も、忙しい仕事の合間を縫って先行研究を調査しクオリティの高いレポートを仕上げてくるので、みんなの発表を聞くのはとても楽しみでした。私の所属していたゼミでは、堅苦しくて意見を言いづらいような雰囲気はなく、思ったことを気軽に発言したり、疑問を提起したりしやすい雰囲気でした。
大学時代の研究室は同級生が2人で、人数が少なくても活発に議論を展開することは難しかったというも経験があり、5~8名のゼミというのはちょうどよい人数なのではと思います。

MBAならではのスキル:仮説検証手法の習得は修士論文を書いてこそ身に付く

okamoto-2-300x200.jpg私は修士論文の作成において仮説検証型の実証研究を行っているのですが、どのようなデータを収集し、どのような分析手法を採用し、そして分析結果をどう解釈するかという一連の検証作業を何十回もやりなおし、とても試行錯誤した思い出があります。しかし、自分で世の中の事象を観察し、その背景や制約条件などを分析して、自分なりの仮説を設定し、その仮説が正しいかどうか検証を行って、仮説が間違っていたら修正を行い、そして検証結果を評価するというプロセスを体得できたことが、一番有意義であったと今になって思います。
私は公認会計士ということもあり、専門学校などで知識を増やすという過程は、今までも多く経験しているのですが、この仮説検証手法の習得はMBAならではのスキルだと思います。

会社の協力や、業務との両立はどのように実現したか?

熱心に上司や人事を説得

私が大学院進学を志した当時、当社は設立10年弱で社員の大半はプロフェッショナルの転職者で構成されており、業務に従事しながら大学院に通うことは難しいのではないかという意見もありました。そこで長期的に人間として成長し社会貢献するために、働きながら学ぶ機会をいただきたいと熱心に説得し、"業務優先"という条件のもと入学許可をいただきました。

周囲とのリレーションを心がけ乗り切る

在学中は授業のみならず課題も多く、勉強時間の確保に苦労しましたが、早起きを心がけ時間配分を意識すること、仕事でも学校でも周囲とのリレーションを心がけることを意識しました。仕事が忙しくて授業に出られなかったときは同級生にフォローしてもらったり、大学院の授業に行かなくてはならないときは職場の同僚に少し業務を頼んだりしていました。
当時は経理部におりましたので、決算期は特に忙しく、時には仕事の途中で大学院に通い、授業を受けたあと会社に戻って引き続き仕事をしたりもしていました。

FSで学んだことが、現在の業務にどう生かされているか?

説明力/説得力の強化が新規事業推進の原動力

講義で得た知識が金融機関で働くうえで役に立つことはもちろんですが、私は、修士論文の作成で学んだ仮説検証型の思考を身につけたことと、ゼミや講義でディベートやディスカッションをたくさん行ったことにより、説明力/説得力を強化できたことが現在業務を行ううえでとても活きていると感じています。

FSで、学業以外で得られたものとは?

幅広い層の同窓生ネットワークが財産

非常に幅広い層の同級生や先輩後輩のネットワークができたことが、FSで得ることのできた一つの財産です。
金融機関の方のみならず官公庁や証券取引所の方々、新興市場に上場している企業の取締役などもいらっしゃいましたし、入社3年目くらいの若くて優秀な若者から、40代以上の地位のある方まで、本当にさまざまでした。年齢や企業における地位が異なっていても、学校内では同級生でありフランクに話をすることができましたし、卒業後も分け隔てなくおつきあいさせていただいています。
普通に講義を受けているだけではそこまで仲良くなれないと思いますが、難しい課題を解くためにみんなで協力しあったり、修士論文のためにみんなで議論を深めたり、共に切磋琢磨することにより絆が深まったのではと感じております。
現在の業務においても、かつての同級生や先輩と業務提携や連携を行って新規事業のフィージビリティ調査を行ったりしております。

最後に、出願する方にアドバイスをお願いします。

修論のテーマは入学後、勉強を重ねる事によって変わるもの

私を含め、受験前には研究計画書など書いたことのない人のほうが多いと思います。また、受験時の研究計画書がそのまま修士論文の研究テーマとして採用できる人はごく一部です。
私もFS入学前の研究計画書作成時には、「IFRS導入が企業業績に与える影響」を研究したいテーマとして挙げていました。入学後、実証研究手法を学んだり、さまざまな先行研究に触れることにより、自分が抱いていた抽象的な問題意識が明確になり、最終的にはIFRS導入で最も影響が大きいと思われる「のれんの減損と利益調整」というテーマに絞り込むこととなりました。
 入学前に修論テーマが明確である必要はなく、日々の業務や生活の中でどのような問題意識を持っているか/そしてなぜ大学院で勉強したいのか、という熱意が大切だと思います。

※本記事の内容、肩書き等は2016年5月当時のものです。

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