2022年05月23日

メディア掲載

宮川准教授が中小企業庁と共同研究を行った共著論文が公表されました

宮川大介准教授と 細野 薫氏(RIETIファカルティフェロー)、布袋 正樹氏(大東文化大学)との共著論文「Causal Effects of a Tax Incentive on SME Capital Investment」は独立行政法人経済産業研究所(RIETI)のディスカッション・ペーパー(英語)として2022年5月 に公開されました。この論文は中小企業庁財務課との共同研究として実施したものです。
RIETIのサイトからは全文をダウンロードすることができます。 

Causal Effects of a Tax Incentive on SME Capital Investment
日本語タイトル:中小企業向け設備投資税制の因果効果

  

【概要】
 本研究では、企業レベルのパネルデータを用いて、本邦中小企業の生産性向上設備への投資を対象として2014年に導入された税制優遇措置が中小企業の設備投資と労働生産性に与えた因果効果を推計した。第一に、2014年の当該措置の導入によって生じた資本財価格の外生的な下落が、この制度を「利用する資格のある」中小企業全体の設備投資比率を増加させたという事実は確認されなかった。この結果は、当該措置を実際に利用した企業の割合が極めて小さいことによると考えられる。第二に、しかしながら、税制優遇措置を「実際に利用した」中小企業を資本金規模の近しい大企業(対照群)と比較したところ、これらの中小企業の設備投資比率が上昇すると共に労働生産性の改善が確認された。第三に、当該措置を利用した企業は対照群との比較において資本装備率の増加が見られなかった。第四に、こうした設備投資比率の上昇は、手元流動性が乏しく、規模が小さく、社齢の若い企業で顕著であった。これらの結果は、中小企業向け設備投資税制の利用が資金制約を軽減し、労働生産性の改善に資する資本の性能向上につながったこと示唆している。